著者は高橋哲哉さん。
東京大学大学院士総合文化研究科教授。
専攻は哲学。
原発政策は福島など立地自治体に犠牲を強い,
安全保障政策は沖縄に犠牲を強いている。
それは植民地主義のような形になっている。
犠牲のシステムでは,
或る者(たち)の利益が,
他のもの(たち)に生活(生命,健康,日常,財産,尊厳,希望等々)を
犠牲にして生み出され,維持される。
犠牲にする者の利益は,犠牲にされるものの犠牲なしには生み出されないし,
維持されない。
この犠牲は通常,隠されているか,
共同体(国家,国民,社会,企業等々)にとっての
「尊い犠牲」として美化され,正当化されている。
犠牲にする者と犠牲にされる者は,
数で言えば多数と少数であり,
民主主義のシステムによって犠牲が強いられている。
多くのひった血が考えないで済ませようとしている部分を
著者がえぐり出しているように思える。
福島と沖縄の共通点。
それは犠牲のシステムである。