著者は矢沢潔さん。
科学雑誌コズモ創刊編集長を経て
1982年よる科学情報グループ矢沢サイエンスオフィス主宰。

本書は原子力発電の歴史や現状について概観している。
「原子力発電は危険だ」というようなイメージで語るのではなく
様々な事実,データを踏まえて
原子力発電の現状や今後の見通しについて語っている。

スリーマイル島原発やチェルノブイリ原発の事故もあり
世界は反原発,脱原発に動いているように見えたが
エネルギーの確保という視点で見た場合
原子力発電の比率は高まり
現状では原子力発電なしには現在の社会は維持できない。
今では「原子力ルネサンス」と言われるほど
その比重は高まりつつあるようだ。
表紙には「エネルギー問題の不可避の選択」とある。

日本のエネルギー政策を考える上でも
世界各国の状況や取り組みは参考になると思う。

最後には「宇宙太陽光発電所」の説明まであり
知らないうちにいろいろな研究が進められているのだと驚いた。

原子力発電の是非はディベートの定番論題だが
この本は基本文献として役立つように思う。